小さく暮らす知恵がつまったトレーラーハウス。奄美大島の〈HOLLY CAMP〉に泊まってみた感想

こんにちは、塚本です。令和最初の超大型GWが終わりましたね。皆さんは、どこかに旅行に出かけたり、ゆっくり骨休めしたりできましたか?私はというと、連休中は仕事、開けて5月8日~10日に休みをいただき、奄美大島に行ってきました!そこで一風変わった宿に泊まったので、そのときの話をしたいと思います。もちろん、家づくりに関わるお話ですよ!

約50年前に製造されたトレーラーAIRSTREAM

私が奄美大島で宿泊したのは〈HOLLY CAMP〉。手間なし・準備なしでキャンプが楽しめると話題の“グランピング”が体験できる施設です。ここの目玉が、1970年製のキャンピングトレーラー「AIRSTREAM」に泊まれること!

アルミ材でできた流線型のボディは航空機に着想を得てデザインされたもの。空気抵抗が少なく軽量なため、自転車でも牽引できたのだとか!中身はフルリノベーションされていて、快適に過ごせるようになっていましたよ。

約6坪の空間で不自由はないの?

とはいえ、トレーラーハウスです。お世辞にも広いとは言えません。公式webによれば、広さは20平米。つまり約6坪です。私の住まいは28坪の平屋。1/4以下の広さしかないのに、果たして不自由なく過ごせるものでしょうか?そこで今回は、実体験を交えて“小さく暮らす”ことを考えてみたいと思います!

トレーラーハウスの全貌

兎にも角にも、まずは写真を見ていただきましょう。下の写真は、リビングのソファに座って撮ったもの。室内のほぼ全てが写っています。写真中央がキッチン、奥が寝室です。

次は寝室。セミダブルのベッドがすっぽり収まっています。私と妻、3歳の子どもが寝てギリギリ、くらいですね。夫婦だけなら余裕です。天井部分には小さいですが収納もあり、本棚として使われていました。

キッチンはこんな感じ。一直線のカウンター。調理器具は足元に収納。調理はIHヒーターがあり、普段はしまわれている状態です。簡単な調理であれば不自由しません。キッチンの向かいはバスルームとトイレです。

トイレに座ってバスルームを見たのが下の写真。流石にユニットバスです。バスタブもありません。そこはキャンピングトレーラーですもんね、しょうがないかと。ただ、個人的に憧れていた“真上から降ってくるタイプのシャワー”が設置されていて、私はむしろテンションあがったくらいです 笑

最後にリビング。リビング兼ダイニングですかね。3人掛けのソファにテーブル。テーブルは折りたたみ式なので用途や人数でサイズを変えられます。ソファも背もたれを倒すとベッドになるので、来客時の寝室代わりにもなります。

と、全景はこんな感じです。どう感じられました?狭い、と思いました?確かに広くはないんですが、でも“窮屈”ではないんです。不思議な感覚です。むしろ、籠もる感じが心地よくすらあります。生活の基本がギュッとまとまっているのが、落ち着くのかもしれません。

生活の動線がとっても短いことで生まれる快適さ。ヒジョーに例えが悪いのですが、冬にこたつから出たくなくなる感覚を思い出してください。こたつから出なくていいように、目の前にはみかん、テレビのリモコン、ティッシュ、急須。脇にはゴミ箱、電気ポットを据えて籠城の構え。リラックスするための備えですよね。あの感覚を思い出したのです。

小さく暮らす知恵~良かったこと~

「トレーラーハウスどうだった?」
と聞かれて
「こたつにみかんだったよ」
ではあまりにしょうもないので、できるだけ具体的に振り返りたいと思います。

テレビがない

人によっては、とんでもないデメリットですよね。というか、私にとってそうです 笑。テレビ番組は見なくなりましたが、映画・海外ドラマ・youtubeなどでテレビをつけない日はありません。

でも、テレビを消すことで見えてくる楽しみがありました。一つは、子どもと遊ぶこと。普段も遊ぶんですが、そこにはテレビやおもちゃが介在していることが多い。

これは私にとって発見でした。そういう“モノ”の手助けなしに、会話して、手遊びして、散歩して、ヤドカリ見つけて。そんな時間がちょっと新鮮でした。

「夜はどうすんの?」
そう思いました?夜は夜で楽しみがあるんですよ。それがこれ!

焚き火ですね。昼間に集めておいた流木を使っています。子どもは3歳ですが、案外、火を見てぼんやりしてました。これはいいです。かなりリラックスできます。

・・・正直な話をしますと、設備でipadが置いてあったので、ちょっと見ました。Netflixが珍しくって見ました、少しだけ。やっぱり少しは、ね。でもこれくらいで十分なのかなぁと思いましたよ。

外が楽しい

先にも言いましたが、外で過ごす時間がとても楽しかったです。トレーラーハウスにはウッドデッキがつながっています。ウッドデッキは60平米、つまり約18坪の広さがあります。

そこには4人掛けのテーブルセット。全身伸ばせる屋外用ソファが2脚。外にリビングを拡張しているイメージです。今、注目を集めるアウトドアリビングに通じるセッティングですね。

雨が降らない限りは、外で食事をするのが基本になりそうです。まして、ここは奄美大島。外で過ごせる時期が長いですから、土地柄ともマッチしています。

そして、目の前に広がるのは海!当然、昼は海で遊びます。私はここで、人生初のSUP(サップ)に挑戦しました!インスタ映えまくりの人気アクティビティです!※不慣れすぎて写真が撮れませんでした 泣。

広ーい凪の海に、ボードとパドルと自分だけ。とんでもない開放感です。“おしゃれな人がするもの”と偏見を持っている方も、一度はやってみる価値あると思います!

小屋を上手に活用

・・・話がそれてしまいました。先程トレーラーハウスの全貌を見ていただいたとき、生活になくてはならない家電がひとつ抜けていることに気づきましたか?

それは洗濯機です!洗濯機はどこにあるかというと・・・庭に立つ“小屋”にあります。

これが内部です。洗濯機のほかに、庭や海で使うレジャーアイテム、キャンプ道具などがしまわれています。これは普通のお家にも共通することですが、「家の中にあげたくないけど、屋内に入れておきたいもの」ってけっこうあります。

上に書いたもの以外にも、ガーデニンググッズやベビーカー、大きいものでいうと自転車、とかですね。そういうものの収納に、小屋はとっても便利です(もちろん、シューズクロークを広めに取るとか、他にも方法はありますが)。

トレーラーハウスの場合は、「家の中にあげたくないけど、屋内に入れておきたいもの」をさらに拡張して、洗濯機も家の外に出してしまった、というわけです。住み手の考え方、暮らしにおいて何の優先度を高くするか次第ですが、こんな選択肢もあるんですね。

小さく暮らす~不安なこと~

やっぱり良いことばかりじゃありません。不安なことも当然あります。小さく暮らすことの不安な点もまとめます。

冬、どうするか?

春夏秋、は、いいです。快適です。でも冬は?もちろん、1泊2泊のレジャーなら大丈夫。なんなら冬でも楽しめそう。でも、暮らすとなったらそうはいきません。外でしていた食事や遊びは控えめに、室内での過ごし方を考えざるを得ません。

雨の日の洗濯物問題

これも、ちょっと骨が折れる問題です。晴れの日であれば、庭に干せば済む話ですが、雨の日は当然無理。かといって家の中にも洗濯物を広げるスペースはありません。

洗濯機に乾燥機能がついていたり、乾燥機が別にあればいいですが、そうでない場合は最寄りのコインランドリーに行くしかなさそう。これ、梅雨、秋雨の時期はなかなかの労力ですよ。

子育てに不向き?

子どもが小さいうちは、なんとかなる気がします。でも、小学校高学年~中学生くらいになれば、子どものプライバシーも考えないといけなくなります。女の子ならなおさら。そうなったとき、子どものプライバシーを確保できる空間が持てないのが難点かなと。

そもそも、6坪のトレーラーハウスなので子育てまで想定してないっていうのはあると思いますが 笑

家族の暮らしの中で、子育て期間はあくまで一部。なので、ちゃんとした子ども部屋を設けず、必要なときだけ間仕切りできるフリースペースを用意する、という考え方もあります。それでも、もう少し広いほうが良いかなと思いました。

個人的結論。“小さく暮らす”と“狭小住宅”は違う

夫婦二人暮らしなら最高。でも、まずは“暮らしの贅肉”を落とすことから

最後に、結局よかったの?悪かったの?というところですが・・・よかったです!ほんとに。「子どもを大学にやったら、夫婦で移住したろかい」と思うほどよかった。

なんで「子どもを大学にやったら」なのかというと、やはり子育ては大変そうという点。そして、“暮らしの贅肉”をしっかり落とさなきゃならない、と思ったからです。

例えばテレビがない、というのもそう。洋服も、タンスの肥やしを作らない習慣が必要です。そもそもタンスを置けませんから 笑。私なんかは、集めている漫画が200冊はあります。新居に引っ越すときに3分の2ほど処分したのに、です。

モノに縛られているうちは、小さな暮らしはできません。けれど、トレーラーハウスに泊まってみて、「モノがないとこんなに身軽なのか」と思ったのも事実。大と小、どちらにも良いところがあって、どちらにも豊かさがあります。あとは、あなたがどちらに強く惹かれるか、というところかなと思います。

“小さく暮らす”は“外ありき”

そしてもう一つ。「小さく暮らすは、ぜんぜん小さくない!」というのもお伝えしたい。「は?」と思われるかもですがホントです。なぜって小さな暮らしを満喫するには外、つまり外構が必須だからです。

〈HOLLY CAMP〉も、トレーラーAIRSTREAM自体は6坪ですが、ウッドデッキは約18坪、全体の敷地面積は、目算で100坪はあったように思います。

まして目の前は海です。地球が庭、みたいなもんです。家は小さく。外でいかに豊かに過ごすかがキモかなと。なので、広い土地を確保したほうが、もっと言えば、自然豊かな地域のほうが、“小さく暮らす”にはフィットするんですよね。

“小さく暮らす”と“狭小住宅”の違い

そういう意味では、“小さく暮らす”と“狭小住宅”は似ていますが全く別物です。“狭小住宅”は、住宅が密集するような狭い土地に、いかに住みやすい家を建てるか?がポイント。

“小さく暮らす”は、自分にとっての必要・不必要をしっかりと見極めて、生活自体を小さくすること。そこから見えてくる豊かさを大切にすることだと思います。※あくまで私の個人的見解です。

いかがでしたか?

おかげさまで、とても学びの多いお休みとなりました。皆さんも、奄美大島に行かれることがあれば、ぜひ〈HOLLY CAMP〉でAIRSTREAMに泊まってみてください。新しい価値観に出会えるかもしれませんよ~(時間とお金が許せば、1週間くらい連泊したかった~!)


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