十字窓の細かいお話

皆さんは十字窓をまじまじと見たことはありますか?真ん中に縦横の桟が直交して入っているのが十字窓ですよね。そもそも十字は宗教的な象徴となったり、崇敬の対象となったりしますが、そんな十字が入った窓から光が入る空間は、なんとなく上品に見えたりしますね。

今日はそんな十字窓の細かいお話を少しばかり・・・

4つの窓を1つに

十字窓もつくり方がいくつかあります。 その中の一つが、窓を4つ組み合わせて1つの窓に見せる方法。このお家は既製品のFIX窓を組み合わせて、明りとりの窓をつけています。

枠の見付け

見付けとは正面から見た時の幅のことです。窓の四方の枠は20mm。このお家の場合、窓と窓の間に構造の柱が建っているため、窓と窓の間は必然的に柱のサイズの105mmの幅の見付けが出てきます。そこに両サイドの窓枠の見付けや、サッシの取付け上の必要寸法が足されて、十字部分の見付けは、なんやかんや合計175mm!窓全体が大きいからこそ出来た十字窓かなと思います。

余談ですが、正面に立った時に十字の縦枠がきれいに見えるように、手前のスチール手摺の縦格子の間隔を割り付けています。余談でしたね。はい。

見付けの目透かし

ただ単に175mmの十字が入っているだけだと、窓そのものが大味に。。実は少しでも太い印象を抑えるために工夫しています。少し近づいてみると、、、見えますでしょうか。十字の見付けの部分に細い線が入っていることに。

実は、それぞれの窓枠と、十字の枠の間に3mmの目透かし(隙間)を入れています。目透かしを入れることで、それぞれの窓枠が強調されて、十字枠の太さが緩和されたように感じませんか?

1本の太い材料を見せるよりかは、3mm目透かしを入れることで、ちょっとだけシャープになり、結果ほどよく十字も強調されたと、個人的に信じています。

1つの窓を4つに

十字窓のもう一つの作り方が、1つの窓に十字の桟を入れて4つの窓に見せる方法。現在進行中のお家で、ちょうどその作り方をしています。手前の材料邪魔ですね、ごめんなさい。

木製FIX窓

木製窓は既製品のサッシと違い、全て木で作るため、寸法は細かく変えることができます。

この窓、実は先ほどの十字窓の、1つのFIX窓の大きさと同じです。四方枠の見付けは同じく20mm。先ほどの窓と同じ見付けですが、印象が違いますね。

ちなみに今回は吹き抜け空間の高い位置にある窓で、十字を少し強調したかったので、十字の部分を45mmと、四方枠より倍近く太くしています。

枠の見込み

先ほどご説明した、正面から見た時の幅の寸法が「見付け」に対し、その奥行きのことを「見込み」と言います。

十字を強調するために、見込みの部分で工夫したところが2つ。

まず1つが、四方枠より十字枠を10mmだけ後ろに引っ込めたこと。その少しの段差に影ができて、十字がより強調されるようにしています。

見込みの目透かし

2つめが、十字の見込み部分に3mm目地を入れたこと。太い見込みの、のっぺりした印象を緩和しつつも、3mm目地を入れたことで、斜め下から見たときに十字ラインが強調されたかなと思います。

終わりに

本当に細かいお話になってしまいました。どちらも言われなければ気づかないようなこだわりですが、1つ1つこんなことを考えながら図面を描いています。どこかで十字窓を見かけたら、じっくり見てみてください。

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