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株式会社 ベガハウス
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スタッフブログ

『設計のまえがき、暮らしのあとがき』

2026/04/23

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.1 デザインとは「豊かな暮らし」の定義である

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.1 デザインとは「豊かな暮らし」の定義である

Vol.1 デザインとは「豊かな暮らし」の定義である


「デザインの良い家に住みたい」
家づくりを考え始めた方が最初にそう願うのは、とても自然で素敵なことだと思います。

けれど、私が最初にお伝えしたいのは
「デザインという言葉を、どうか『オシャレにすること』と誤解しないでください」ということです。

今は、視覚的な情報が溢れている時代です。
スマートフォンの画面をなぞれば、どこかのホテルのようなリビングや洗練されたインテリアの写真がいくらでも流れてきます。それらを見ているうちに、多くの人が「美しい色や形を組み合わせること」だけがデザインだと思い込んでしまいます。

けれど、完成した瞬間が一番きれいで、あとは古びていくだけの「装飾」としてのデザインは、一生を過ごす場所としては、少し心もとない気がするのです。

私たちが考えるデザインとは、表面をきれいに整えることではありません。それは、これから何十年というあなたの「人生の時間」を、どう定義し、彫り込んでいくかという、静かな意思のことなのです。誰かに見せるための家じゃなくても、幸せにはなれる。自分の心の「手触り」を大切にした場所こそが、本当の安らぎになるのだと信じています。


-装飾を捨てて「所作」を設計する-

想像してみてほしいのです。新しい家で迎える、最初の日の朝のことを。窓から差し込む光が、床にどのような影を落としているか。キッチンでお湯を沸かす音が、どんなふうにリビングへ響くか。裸足で踏み出したときの、無垢の木の床の温度。

私たちが設計しているのは、壁や屋根という「物」ではありません。そこで行われる、ひとつひとつの「所作(しぐさ)」です。

朝起きて、顔を洗い、家族と食卓を囲み、仕事へ行き、夜に戻って眠りにつく。この、あまりに当たり前で、ささやかな毎日の断片が、心地よいリズムを伴って流れているか。

例えば、ただ「コーヒーを淹れる」という何気ない行為。その背後にどれだけの静寂があるか。家族の気配をどんなふうに感じるか。そんな、言葉にするのも難しいような微細な感覚を整えていくこと。それこそが、本当の意味でのデザインです。

デザインは、主役ではありません。
主役はあくまで、そこで営まれるあなたの暮らし。
家そのものが主張するのではなく、あなたの振る舞いや、家族の会話、季節の移ろいをそっと引き立てるための「良質な背景」であること。

どれほどリビングが美しくても、家事の動線があなたの歩調を乱したり、周囲の視線が気になって心が休まらないのなら、それはデザインとして機能していないことになります。デザインとは、あなたの人生を肯定し、日々の何気ない時間を「宝物」に変えるための装置であるべきなのです。





-「暮らしの解像度」を上げるというセッション-

私共は、家づくりを始める前に暮らしの理想や希望を共有する時間を設けます。その対話の中で「お部屋は何室欲しいですか?」とはお聞きしません。お部屋の数は、あくまで結果に過ぎないからです。その代わりに、私たちはあなたの「暮らしの解像度」をこんな事を聞いてみます。

「休日はどんなふうに過ごすのが一番リラックスできますか?」「今の住まいで、ふと心が安らぐのはどこですか?」「窓から差す陽の光をどんなふうに愉しみたいですか?」これは、単に好みを把握するためのものではありません。あなた自身もまだ言葉にできていない、「自分が本当に心地よいと感じる瞬間の正体」を、一緒に探し出す作業です。

本当の豊かさは、一人ひとり違います。
ある人にとっては、庭の緑を眺めながら没頭する趣味の時間。ある人にとっては、家族の声が心地よい距離感で聞こえる中での読書。その「核」となる時間を、空間のどこに配置し、どんな光を当て、どんな手触りの素材で包み込むか。それが決まったとき、家の形は自ずと導き出されます。


-流行を追いかけない。普遍という「品」を愛する。-

家づくりにも「トレンド」が存在しますが、それだけに頼った家づくりは、数年後にきっと後悔を連れてきます。人の目は、新しいものにはすぐ慣れて、飽きるようにできています。

私たちが目指すのは、完成したときが最高点なのではなく、10年後、20年後にさらに愛着が増していくような「普遍的な美しさ」です。それは、奇をてらった形ではなく、光と影のバランス、視線の抜け、素材の質感といった、人間が本能的に「心地いい」と感じる原理原則に基づいた設計です。

時代に流されず、自分たちが本当に大切にしたい価値観を貫くこと。それは、少しの勇気がいることかもしれません。けれど、その勇気の先にしか、本物の安らぎは存在しません。デザインとは、選ぶ人の知性そのものであり、それを私たちは「品」と呼びたいのです。「かっこいい家」よりも「いい時間が流れる家」を。私たちは、「ベガハウスの家はかっこいいですね」と言われることよりも「この家に来ると、なんだか時間がゆっくり流れている気がする」と言われることを、最高の褒め言葉だと考えています。


「素朴な品という豊かさ」を求めて

この連載のタイトルには、私たちのささやかな決意を込めました。使い込まれた木の家具や、手馴染みのいい道具が、年月を経て深い味わいを増していくように。私たちもまた、あなたの人生から「余計なノイズ」を取り除き、日々の何気ない営みが「素朴な品」として光り始めるような、純度の高い暮らしの時間を形にしていきたいと考えています。

これから全9回にわたり、私たちが何を信じ、どのような視点で一軒一軒の住まいを彫り上げているのか、その裏側を丁寧にお話ししていきます。 それは、単なる住宅建築の手法ではなく、これからのあなたの「生き方」を見つめ直す旅になるかもしれません。家を建てるということは今までの価値観を見つめ直すし体現すること。どうか、のんびりとお付き合いください。