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株式会社 ベガハウス
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スタッフブログ

『設計のまえがき、暮らしのあとがき』

2026/04/28

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.2「広さ」という数字ではなく、居心地の「深さ」を求める

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.2「広さ」という数字ではなく、居心地の「深さ」を求める


Vol.2「広さ」という数字ではなく、居心地の「深さ」を求める

その「広さ」、本当に必要ですか?

新しい家を建てようと決めたとき、最初に直面するのは「数字」という名の高い壁ではないでしょうか。 「延床面積は何坪必要か」「LDKは何帖あればゆとりが出るか」。住宅展示場に建つ豪華なモデルハウスを巡り、不動産のチラシに踊る面積の数字を眺めているうちに、私たちはいつの間にか「家が広ければ広いほど、幸せの量も増える」という、世の中の当たり前の空気に、知らず知らずのうちに飲み込まれてしまいます。

けれど、プランナーとして数多くの住まいと、そこで営まれる家族の姿を見続けてきて確信していることがあります。それは、「面積の広さと、心の充足感は、決して比例しない」という厳然たる事実です。

想像してみてください。 あまりに広すぎて、家族がどこにいるのか気配もわからない。 冬の寒さを気にして、結局は扉を閉め切って一箇所に固まって過ごす。 週末は、ひたすら広い床の掃除に追われて一日が終わる。それは、あなたが本当に望んでいた「豊かな暮らし」の姿でしょうか。 私たちが提案したいのは、全国一律の基準で語られる面積という「量」を競う設計ではなく、空間の「深度(しんど)」を深める設計です。

-面積という名の「空虚」を、密度の濃い「居場所」へ-

広すぎる空間は、時に人の心を落ち着かなくさせます。 何もない広大な草原の真ん中に放り出されたとき、どこに身を置けばいいのか分からず、少し心もとない気持ちになるのに似ています。一方で、私たちが「あそこは落ち着くな」と感じる場所を思い出してみてください。 お気に入りの喫茶店の隅っこの席。旅先で見つけた静かな書斎。 そこは決して「広く」はなかったはずです。けれど、そこには言いようのない深い安らぎがありました。

その安らぎの正体は、空間の「密度」です。

ベガハウスが20坪台の設計をひとつの基準にしているのは、それが家族の気配を最も心地よい距離感で感じ、住まう人の個性が空間の隅々まで行き渡るサイズだと考えているからです。いわば、「自分の意識が空間の端まで、無理なくしっくり馴染むサイズ」です。

「広いリビング」という記号を作るよりも、「どこに座っても、そこが自分だけの居場所だと感じられる場所」を作ること。 面積という数字を追うのをやめたとき、家づくりは単なる不動産の購入から、人生を豊かにするための「舞台を整えること」へと変わります。

-「持たない」という選択が、空間を広げていく-

コンパクトな住まいの中で、どうやって数字以上の広さとゆとりを感じさせるのか。 そこには、プランナーの知恵と、そして住まい手自身の「引き算」の覚悟が必要になります。

その手法のひとつが、「視線の抜け」のデザインです。 壁で空間を物理的に仕切るのではなく、窓の外にある空や緑、あるいは隣の部屋の気配へと、視線が淀みなく流れるように計算します。 物理的な距離は短くても、視線の終着点が遠くの景色や光に届くとき、私たちの脳はその空間を、数字を超えて「広い」と認識します。

もうひとつは、「余白」を恐れないことです。 「収納が足りないかも」という不安に駆られて空間を棚や壁で埋め尽くすのではなく、あえて何もない壁や、ただ静かに光が落ちるだけの床を残す。

その「何もしない場所」があることで、空間に呼吸が生まれ、住む人の心にゆとりが宿ります。 私たちは、要望をすべて詰め込んだ「足し算の家」は作りません。 本当に大切なものだけを選び取り、それ以外を潔く削ぎ落とす。 その研ぎ澄まされた先にこそ、あなたの心がピタリと収まる「深い居心地」が姿を現すのです。


-「所作」の先に、モノの居場所を-

「引き算」のデザインは、決して不便を強いることではありません。むしろ、暮らしの解像度を極限まで高め、日常の純度を研ぎ澄ませていくための「編集」という作業です。

私たちが考える収納とは、単に大きな「箱」を用意することではありません。大切なのは、住まう人の流れるような動きの先に、その道具が「あるべき居場所」をそっと添えていくこと。

例えば、料理の最中、一歩も動かずに調味料へ手が届く棚。ソファの傍ら、読みかけの本をそっと差し込めるわずかな隙間。人の振る舞いと収納の定位置が美しく重なるとき、日々の動作は驚くほど軽やかになり、住まいには静かな秩序が生まれます。

この正解は、図面の上ではなく、あなた自身の日常の中にこそ眠っています。 本人さえも意識していない無意識の習慣や、ふとした瞬間の心地よいリズムを、対話を通じて一つひとつ丁寧に紐解いていく。そうして暮らしの微細なシーンに光を当て、徹底的に「聴くこと」から導き出される緻密な収納計画こそが、面積という数字を超えた、奥行きのある居心地を支えるのです。

-暮らしを研ぎ澄ます、という贅沢-

「広い家はいいですね」と言われることよりも、 「この家は、どこにいても自分の居場所がある気がする」と言われること。数字という外側の基準で家を測るのをやめ、ご自身の内なる感覚をそっと信じてみてほしいのです。「これくらいが、自分たちにはちょうどいい」 そう思える潔さを持ったとき、家づくりは驚くほど自由になります。

あなたの人生を本当に豊かにしてくれるのは、管理に追われる広大な空虚ではありません。 愛着の持てる素材に囲まれた、密度の高い、深い時間。 あなたの人生を本当に豊かにしてくれるのは、管理に追われる広大な空虚ではありません。愛着の持てる素材に囲まれた、密度の高い、深い時間。 それこそが、ベガハウスが追い求める「素朴な品」という豊かさの、ひとつの確かな輪郭なのだと考えています。