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株式会社 ベガハウス
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スタッフブログ

「素朴な品という豊かさ」を求めて

2026/06/11

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.8 触れる快、視る美。細部に宿る独創性。

『素朴な品という豊かさ』を求めて Vol.8 触れる快、視る美。細部に宿る独創性。

Vol.8 触れる快、視る美。細部に宿る独創性。

私たちは、住宅という大きな建築を、細やかな手仕事のように、細部まで美しく整えて描きたいと考えています。
住まいの『心地よさ』を形づくる要素の中で、私たちが特に大切にしている二つの軸があります。ひとつは、プロポーションや光の陰影が織りなす『目に映る美しさ』。そしてもうひとつは、肌に触れた瞬間にほっと心が安らぐ『手触りの心地よさ』です。

住まいという大きな空間から、人の手が触れる質感まで。私たちが目指すのは、ただ美しいだけではない細部への配慮です。日常の暮らしのなかでふと感じる小さな違和感をなくしていく。その地道な調整の先にこそ、この二つの軸が分かちがたく結びついた、住まいの確かな心地よさがあるのだと考えています。

ディテールに宿る、設計の根拠

職人が家具をつくるとき、目で見るだけでなく、手のひらの感覚で確かめながら細部を整えていくように、私たちの住まいづくりもその感覚をとても大切にしています。

ただ図面の上だけで線を引くのではない、住まう人の所作を想像して、手がどう触れるかを感覚的に見つめること。そうして使う人の手に馴染むように整えられた細部が、住む人と建築とのあいだに、心地よい関係を生み出していくのだと考えています。

玄関のハンドルや階段の手すり、指をかける取っ手や、ふと手を置くカウンターの端。毎日、無意識に触れる場所の質感が肌に馴染むものであれば、そこには確かな安心感が積み重なっていきます。眺めて美しく、触れて心地いい。その二つがぴったりと重なり合ったとき、住まいは日々の暮らしにすっと馴染んでいきます。

暮らしを調律する、造作の在り方

そうした心地よさを形にし、建築と暮らしを繋ぐのが「造作」という手法です。空間全体のプロポーションを整えながら、肌が触れる小さなディテールにまで細やかに手を尽くすことで、住まいの調和を生み出していきます。

例えば、建築のラインとすっきりと一体となったソファ。住まい手と空間に合わせて考えたデザインは身体を預けたときの心地よい収まりはもちろん、座面の傍らに収納を設け、コンセントやスイッチを忍ばせてより機能的にかつ、日常のノイズを視界から消し去っています。

また、暮らしの中心となるテーブルも同様です。コミュニケーションの取りやすい円形や、窓の外の風景へ向かってすっと伸びる長方形。時に空間の美しい中心となり、時に外の景色を取り込むための最大限のかたちは、目に映る美しさと、そこでの過ごしやすさから自然と導き出されています。

人が集まる場所や、身を預ける場所をはじめ、それぞれの空間ならではの独創性を大切にしています。既製品をただ配置するだけでは決して生まれない、その場所のためだけの佇まいと心地よさ。それらをディテールから丁寧に重ねていくことで、住まいは日々の暮らしの豊かな背景へと変わっていくのです。

佇まいを導く、文脈との調和

こうしたディテールを突き詰めることは、決して細部への固執だけではありません。それは指先の感覚から土地の風景までを一貫した思想で繋ぎ、空間全体の「整合性」を生み出す作業です。

ディテールは、建物の外観やその土地が持つ文脈と密接に呼応していなければなりません。
例えば、おおらかな田園風景の中に建つ板張りの平屋であれば、視覚的にも、そして触れた時の質感も、素材の力強さを活かした「おおらか」な表現であってほしい。一方で、住宅街に建つシャープな家であれば、線の細さを強調した繊細な仕上げが、その佇まいの美しさを裏打ちします。

同時に、その形は住まう人の所作や家族のあり方にも深く馴染む必要があります。
元気な子供たちが走り回る住まいなら、角を落とした丸みのある形が安心感を。洗練された道具や家具を愛でる暮らしなら、それらと響き合うような、研ぎ澄まされた精度を。住まう人の手の大きさや歩幅、反映される美学までを読み解き、視覚と触覚、双方が納得する形を導き出していく。その集積こそが、独自の表現を確かなものにする整合性を生み出すのです。

暮らしを整える、誠実な作法

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、私たちの家づくりにおいて、ディテールは単なる装飾ではありません。それは素材の本質を解き、住まう人の日常を整えるための「実直な作法」です。

ひとつひとつを丁寧につくり上げるような、あの細やかな視点を、私たちはこれからも家づくりの真ん中に置いていきたい。そうして重ねられた細やかな配慮は、住み始めてから数年、数十年と時が経ち、素材がその住まいにしっくりと馴染んだ頃、ふとした瞬間の「心からの安らぎ」として暮らしに現れてくると思うのです。

流行に左右されない、その場所だけの佇まい。 触れるたびに心が安らぐ、確かな手触り。 そんな住まいのなかに、私たちのものづくりの原点があります。





連載:『素朴な品という豊かさ』を求めて
文:桓本直紀(ベガハウス プランナー)